人名情報を探す(事例Q&A NO.5 )

●その1
Q:
「完全なるイギリス商人」を書いたDeforの伝記とその著書の出版年を知りたい。
A:


 レファレンスインタビューからかなり古い文献であることが判明。伝記も知りたいとのことなので、代表的著作が掲載されている人名事典から当たってみる。
 西洋人名を調べるのに代表的なものは、『岩波西洋人名辞典』増補版(岩波書店1981)がある。この辞典の特色は、(1)日本語のカナ表記が原語の発音に近い状態で表記されている。(例:ナイチンゲール→ナイティンゲ―ル)(2)日本に来訪した外国人を多数採録している。(3)代表的著作の紹介がある。などである。
 この質問の場合は、Deforの原綴りが判明しているので、索引を活用した方が確実。索引活用上の注意点は、増補の部分と本体の部分の2つに泣き別れていること。巻末にあるのは、増補部分のみの索引なので要注意。本体の人名原綴り索引は、本体増補部分の前(本体編の後)にある。
 人名項目本体部分の人名索引からDeforを引く。すると、「Defor,D.874左」となっていることが分かる。874頁を見ると、「デフォー」というカナ見だしがあり、「イギリスのジャーナリスト、小説家、ロンドンの商人の子供で……」と伝記解説があり、最後に主著の紹介がある。この中に、The complete English tradesmanという該当書がある。出版年は、1725-27と分かる。
 

●その2
Q:
「家政論」を書いたAlberityの伝記とその著書の出版年を知りたい。
A:


 レファレンスインタビューから17世紀頃の本と分かる。また「家政論」はかなり有名な本で著者は経済学者だと言う事から、確認調査として経済学関係の主要事典から「家政論」や人名から当たってみたが、どこにも見当たらない。そこで、組織的な探索法を活用してみる。
  まず、さまざまな人名事典や百科事典などに採録されている全ての人名を抽出し、何の事典に採録されているかを指示した『外国人物レファレンス事典』(日外アソシエーツ1999)の6巻目の「古代−中世編」索引の(ア−ツ)を引くと……、Alberity,Leon battistaという人名を見出すことができる。人名のカナ読みはアナベルティ、肩書は建築家・人文学者とあるので、この人名で本文編に当たってみると数多くの人名事典等に採録されていることが分かる。その中に人名事典として、もっとも詳しいことで名高い『世界伝記大事典』(ほるぷ出版1980)にも紹介されていることが分かる。『世界伝記大事典』で調べてみると「家政論」ではなく、「家庭論」の間違いであることが判明。その著書の出版年も明記されている。
 ちなみに、西洋人名事典の基本文献『岩波西洋人名辞典』(前記事例参照)で確認してみると、建築家としての記述で終わり、「家庭論」までの言及はない。記述量が比較的多い『世界大百科事典』(平凡社)や『ブリタニカ国際百科事典』でも「家庭論」の出版年記述を見出すことはできない。
 この例は、人名調査における基本的探索法の良いサンプルである。